魔法の絨毯?!吉備大臣日東絵巻とは?ストーリーや作者について詳しく解説します

やまと絵

基本情報

読み方 きびのおとどにっとうえまき
作 者 不明(常盤光永?)
時 代 12世紀末〜13世紀初め
分 類 絵巻物(伝承物語)
特 徴 絵具の使い分け
内 容 遣唐使の主人公が唐の役人の無理難題を解決する
主人公 吉備真備(きびのまきび・奈良時代の遣唐使)

吉備大臣日東絵巻は12〜13世紀の鎌倉時代に制作された絵巻物です。

奈良時代に遣唐使として中国の唐に渡った吉備真備と言う人物の伝説が描かれています。

もともとは2巻構成とされていますが、現存するのは前半のみで、現在はボストン美術館に所蔵されています。

MFA Mobile: 5. Minister Kibi’s Adventures in China
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ストーリー

主人公の遣唐使・吉備大臣が唐に渡ると、唐の役人に怪しまれ、鬼の出るという楼閣に軟禁されてしまします。しかし、鬼の正体は同じ遣唐使の阿倍仲麻呂の幽霊だったのです。

唐の役人に、難しい本の解読や囲碁など、様々な勝負をもちかけられますが、吉備大臣は幽霊の助けを受け、なんとか難題を解決し帰国できました。

現れた鬼は、なんと同僚でした(引用元)

超能力で難題を解決するユニークさ

吉備大臣日東絵巻の面白い所は、「幽霊の超能力を駆使して難題を解く」こと。

主人公は唐の役人から無理難題を持ちかけられますが、幽霊となった阿倍仲麻呂の超能力を使って次々に解決していきます。

その超能力が空を飛んだり碁石をお腹に溜めたりといったもので、ユーモアに溢れた面白い作品となっています。

魔法の絨毯!飛行自在の術

飛行自在の術で宮廷に向かうシーン。

座布団の上に乗っています。まるで空飛ぶ魔法のじゅうたんですね。

ちなみに、鬼に扮した阿部仲麻呂は幽霊なので顔が赤くなっています。

(引用元)

碁石をお腹に留める術

こちらはイカサマをして碁石を口に含むシーン。

負けると殺されてしまう囲碁の達人との勝負。吉備大臣は囲碁を一夜で会得しますが、なかなか勝てず相手の碁石を飲み込むというイカサマをすることで勝負に勝ちました。

この後、下剤を飲まされ、イカサマがばれそうになりますが、お腹に碁石を留める超能力で助かります。

右側の囲碁をしている黒い人物が吉備大臣(引用元)

作者について

吉備大臣日東絵巻の作者は、同時期の有名な絵巻物「伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)」の作者である常盤光永、または常盤光永の画風を真似した絵師ではないかと言われています。

そう言われる理由は、建物や動物の細かな描き方、絵具の使い方がよく似ているためです。

伴大納言絵巻 常盤光永 (引用元)

絵の具の使い分ける細かなこだわり

常盤光永は、同じ色でも描く対象によって絵具を使い分けていました。

普通、人の顔は白土や胡粉といった白の絵具を使用します。

しかし、この作品では、主人公や身分の高い人物には鉛白(えんぱく)という絵具が使用されています。


鉛白は中国産の光沢のある白い絵具で、高価であったようです。細かいこだわりが垣間見えますね。

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