Contents
概要
※基本情報*
概 要 襖に描かれた絵
支持体 木枠に紙や絹
内 容 風景・人物・花鳥画
読み方 座って・「角」に注目
襖絵とは文字通り、襖(ふすま)に描かれた絵のことです。
襖は和室の部屋を区切るために使用される建材で、その時々の用途に合わせて、二つの部屋に区切って使用したり、襖を開けて大広間として使用したりします。
襖絵はそんな、部屋の可変の「壁」のようなものに描かれた絵のことで、室内を装飾する障壁画(しょうへきが)のひとつです。
ダイナミック・大スケールの作品
室内装飾であるため、大きな作品が多く、ダイナミック・大スケールな作品が多いのが特徴です。
描かれるのは風景画や花鳥画が主流です。部屋を広く見せたり、部屋の中にいても自然を楽しみたいという狙いがあったのでしょうか。
襖絵の歴史
襖が生まれたのは平安時代
襖は平安時代に日本で生まれたとされています。
襖は当初寝室を仕切るための道具で、「襖」という名前も、平安時代に寝室という意味で使用されていた「衾所(ふすまどころ)」からきています。
襖絵が生まれたのは室町時代
襖絵が生まれたのは室町時代頃。襖の制作技術が向上したことや、武士が権力を示すために金箔や絵を施した豪華な襖が登場しました。
幕府が支持した禅宗の僧侶たちや、のちに御用絵師となる狩野派の絵師たちが数多くの襖絵を手がけるようになりました。
技法
金碧障壁画(きんぺきしょうへきが)
金障障壁画とは、金箔(きんぱく)を貼った上に岩絵具で絵を描いた襖絵のことを言います。
狩野派が得意とした技法のひとつで、金箔を貼ることで室内が豪華で装飾的に、また神々しい雰囲気を醸し出すことができるため、権力を誇示したい将軍に好まれました。
鑑賞のポイント
「角」に注目
襖絵は前述のとおり、壁の代わりとして一部屋ぐるっと配置してあったものなので、「部屋に配置されていた」ということを意識して鑑賞するとより一層鑑賞が深まるでしょう。
特に注目すべきは「角」です。
直角に面が変わる、立体表現として重要なポイントですので、絵の構図も角を意識して制作されている作品が多くあります。
平面作品の「端」のように、作品が角で一度終わっているような表現もありますし、遠くの景色として、角となる2面にまたぐように山や木などを配置して奥行きを表現するものもあります。
【外部リンク】四季花鳥図 狩野永徳 国宝 大徳寺聚光院
この襖絵も、角に山が配置されていたりなど工夫が見られ、永徳が襖絵を「立体物」として捉えていたことがわかります。
配置される場所に注目
襖絵は大広間を仕切るために使用されるため、大広間として使用するときに上座に座った人物が映えるような仕掛けがされている場合があります。
例えばこの作品では、下座から見て手前の松は大きく、奥の松はやや小さく天に抜けるように描くことで、上座に座った偉い人がより遠くに、神々しく見えるように計算されて描かれています。
座って/かがんで鑑賞する
襖絵は、当時座って鑑賞される機会が多かったため、襖の下部分に多く力を入れたり、座ったときの視線で高さを計算して描かれています。
美術館などでは立って鑑賞するため、目線の高さが本来鑑賞する想定の高さより高くなってしまいます。
美術館で座って鑑賞することは難しいため、座った時に見える高さまで屈んで鑑賞すると、作者の力の入れた部分がよりわかりやすくなるかもしれません。
【外部リンク】方丈障壁画 重要文化財 狩野探幽 建仁寺
襖下の部分に注目してみると、特に力をいれて描かれていたことがわかります。
当時は今ほど室内が明るくなく、夜は特にろうそくのゆらゆらとした柔らかな光の中で見られていたということを考えると、全体より部分に力を入れたという意図も感じられるのかもしれません。
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