屏風とは?
概 要 部屋の仕切りに使う家具のこと
特 徴 「2つで1作品」のものがある
支持体 長方形の枠に布や紙を貼ったもの
数え方 一枠が一曲(いっきょく)
一つが一隻(いっせき)
二つセットが一双(いっそう)
観かた 折った状態で・低い視点で
屏風は部屋を仕切ったり、風を防いだりする用途で作られた家具です。
屏風という言葉は「風を屏(ふせ)ぐ」という意味からきていると言われています。
紙や布などを張った長方形の木枠を複数枚つなぎ合わせ、折りたためるようになっています。
屏風の歴史
日本は奈良時代頃から
屏風は中国から来た文化で、中国 漢時代には存在した言われています。
日本では奈良時代の歴史書「日本書紀」で初めて屏風という言葉が記載されており、8世紀に制作された「鳥毛立女屏風」が現存する最古の屏風として知られています。
【外部リンク】鳥毛立女屏風 文化庁広報誌 文化のトビラ
室町時代に発展
平安時代に制作された多くの絵巻物に屏風が描かれていることから、平安時代から貴族の家に屏風があることは一般的であったことが分かります。
平安時代に作られた有名な絵巻の1つである「源氏物語絵巻」でも屏風が描かれています(作品右側)
室町時代になると、狩野派の繁栄とともに多くの屏風絵が制作されるようになり、きらびやかで多種多様な屏風が登場し、今日我々がよく見る屏風絵の形態へと発展しました。
江戸時代に民衆化
江戸時代になると民衆が活気づいたため、地方の武士や裕福な一般家庭にも屏風が置かれるようになりました。
そのため、江戸時代からは比較的狭い家でも置きやすい二曲一双の小さな屏風が多く制作されるようになりました。
数え方
- 屏風の木枠一枚一枚を「曲(きょく)」
- 「曲」を繋げ合わせたひとかたまりが「隻(せき)」
- 一隻が右と左で1セット、対になっているものが「双(そう)」
- 右側に配置する一隻を「右隻(うせき)」左側に配置するのは「左隻(させき)」
2・4・6・8曲からなっている屏風が多く、今日最もよく見る形は上の洛中洛外図屏風のような6曲からなる屏風2つを1セットとした六曲一双です。
平安時代ころには八曲一双なども多く制作されていましたが、鎌倉時代(14世紀)以降は六曲一双が主流となりました。
先述の通り、江戸時代になると下級武士や町民が裕福になり、屏風を購入できるようになったため、これまでより小さな二曲一双や六曲一隻なども多く制作されるようになりました。
屏風の特徴と鑑賞のポイント
2つで1セットの作品
屏風には2つで1セット(一双)のものがあり、これは屏風絵の特徴でもあります。
2つで1セットの絵を描く場合、そのちょうど中央にあたる部分で作品が分かれるため、中央を意識した構図となります。
こちらの屏風では、中央の大きな川が真っ二つになっています。
展示される時はぴったり横につけて並べられますが、実際に使用する時はもう少し離れて置くはずです。そんなことを考えながら鑑賞すると、面白い発見がありそうです。
折り曲げて使用する「半立体絵」
屏風は現在、ぴんと開いた状態で展示されることが多いですが、本来はジャバラ状に曲げて使用されるものです。
そのため、絵師たち屏風を「半立体物」としてとらえて作品を制作していました。
折り目の凹凸をうまく使って構図を練り、奥行きや目線誘導を行っている作品も多くあるため、鑑賞する際は凹凸を意識すると発見があるかもしれません。
【外部リンク】唐獅子図屏風 狩野永徳
リンク先で唐獅子図屏風の折り曲げる前と後が見られます。
折り曲げて見ると大きく描かれた唐獅子がより立体的で迫力を感じるようになりました。
座って鑑賞する
屏風は部屋に置いてあるものなので、当時の人々は座って観る機会が多くありました。
そのため、絵師たちも座って鑑賞することを念頭に置いて制作されました。
屏風にはよく風景画が描かれますが、座った時に「目線の上」になる屏風の上部分は空が描かれていたりします。
【外部リンク】月に秋草鶉図屏風 酒井抱一 144.5×143.7cm 山種美術館
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