アニミズムとは?
意 味 すべてのものに魂が宿っているという考え方 起 源 19世紀後半(1870年頃)定着した言葉 由 来 ラテン語のanima(アニマ・霊魂や生命) その他 多神教とかかわりが深い
「すべてのものに魂が宿る」という最も原始的な考え方
アニミズムとは「すべてのものに魂が宿る」という考え方のことを言います。
19世紀に人類学者のエドワード・タイラーが、最も原始的な宗教をアニミズムと呼んだことから始まりました。
そもそも、宗教は、今から6〜3万年前、人類の脳の発展と共に出現しました。
人の脳が様々な知識を持つことにより、物と人の似た性質を見つけ、「物や人は同じ」=「すべてのものに魂が宿っている」と考えるアニミズム的思考に至ったと考えられています。
アニミズムは子どもの成長過程にも見られます。たとえば、子どもが描く絵は、無機物(花や機械など)にも目や口を描くことがありますが、これは生き物とそうでないものを見分けられないために起こる現象であり、「すべてのものは人と同じ」という点でアニミズムととらえることができます。
このように小さな子どもの成長過程であることからも、アニミズムが最も原始的な考え方であることがわかります。
日本のアニミズムについて
意 味 自然を信仰する日本の民族宗教
時 代 縄文時代頃に成立?
神 八百万(やおよろず)の神
創始者 なし
聖 典 古事記・風土記など(8世紀初頭)
神道は、古代日本に自然発生的に生まれた自然信仰で、アニミズム的な考え方を根本としている宗教です。
八百万(やおよろず)とは、「無限に多い」という意味で、古来日本では「八」という言葉を「多い」という意味でも使用していたことから、「八百万の神」と言われるようになりました。
古代の日本では、葉や岩、火や幸福など、自然のあらゆる物やできごとに神を見出し、信仰しました。
日本ではこのような考え方が古来から根付いていたことで、のちに中国からやってくる仏教や道教、ヨーロッパから来るキリスト教などを「八百万の神」の一員として許容できたともいわれています。
【外部リンク】文化遺産オンライン キノコ形土製品
こちらは神道ができたと言われる縄文時代の作品。豊作を願って作られたのでしょうか?他にも動物らしい形の土器などもあり、自然信仰の現れがわかります。
日本のアニミズムを象徴する絵画2選
鳥獣人物戯画
鳥獣人物戯画は1100〜1300年(平安時代末期〜鎌倉時代初期)に描かれた絵巻物です。
登場人物は主にウサギや猿・蛙といった動物たち。
「戯画」とは、戯れ(たわむれ)に描かれた絵という意味で、当時の当時の有名人(武士や僧侶など)を、動物になぞらえて面白おかしく風刺して描いたのではないかと言われています。
動物が遊んでいる姿はまるで人間そのもので、アニミズム的な思考が読み取れる作品です。
百鬼夜行絵巻
百鬼夜行絵巻は室町時代後期頃、土佐光信によって描かれた絵巻物です。
日本では様々な妖怪の伝説がありますが、百鬼夜行絵巻では琵琶や琴、ほうきなどの日用品が妖怪となって登場しています。
これは妖怪であって神ではありませんが、「あらゆるものに魂が宿る」という点でアニミズム的思考がうかがえる作品です。
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